精和病院 院長
屋良 一夫
当院は令和3年に創立60周年を迎えました。昭和36年5月6日、財団法人立沖縄精和病院として南風原町宮平において創設、沖縄の本土復帰後昭和48年4月1日に県へ移管され、沖縄県立精和病院としての事業を再スタートさせています。その後昭和61年には施設の老朽化に伴い、現在の南風原町新川に新築移転し36年という年月を経て現在に至っております。開設以来当院は、沖縄県における精神科医療の中核的役割を果たし、精神科救急、触法患者を含め対応が困難な患者さんの治療、離島における精神科医療の支援など公的病院としての役割を担ってきました。
また県下精神科病院で唯一の結核病床を備え、令和2年5月には新型コロナウイルス感染症の専門病棟を開設し、一般の身体科病院や精神科病院では対応が困難な精神疾患を有するコロナウイルス感染症陽性者の受け入れを行っています。また、令和3年、DPAT(災害派遣精神医療チーム)先遣隊の指定を受け、コロナ禍においてDPAT先遣隊災害支援やICN派遣なども行っています。
その他医療観察法の施行当初より、同法における鑑定入院および指定通院医療機関として受け入れを継続し、治療抵抗性の統合失調症患者へのクロザピン治療導入やmECT(修正型電気刺激療法)治療への取り組みも行っています。また令和4年4月より常勤歯科医師による精神障害者歯科治療の拡充を進め始めたところです。課題である人材育成については、教育、研修機関としての役割を担うことを目標とし、初期臨床研修医、精神科専攻医の研修をはじめ、看護学生、作業療法士、精神保健福祉士などコメディカルの研修の受け入れも積極的に行っていきたいと思います。
今後も、沖縄県全体で課題とされている精神科医療のニーズをふまえ、取り組みを行っていくことが重要と考えます。当院理念の「こころ病む人を支え共に歩む」を常に念頭に置き、患者さんの訴えに耳を傾け、寄り添いながら県立病院としての役割を果たせるよう職員一丸となって取り組んでいきますので、何卒宜しくお願い申し上げます。
令和4年4月