県立病院の沿革
沖縄県病院事業は、昭和47年5月15日の日本復帰の日に琉球政府立病院を引き継ぎ、5病院(名護、中部、那覇、宮古、八重山)、総病床数865床でスタートしました。
現在では、精神科病院1病院を含む6病院及び16の附属診療所、総病床数2,188床(平成28年4月)となっています。
沖縄県では、県立病院が、地域の中核病院として、救急医療、高度・特殊医療、離島・へき地医療、医療従事者の養成研修事業等を行い、地域医療の確保と医療水準の向上に努めています。
沖縄の県立病院の特徴
平成26年度地方公営企業年鑑によると、県内医療機関に占める県立病院の割合は、病院数で6.4%(全国平均2.4%)、病床数で11.7%(全国平均3.5%)と、全国平均と比べ高くなっていることが特徴的です。
しかし、国立病院等を含めた公的医療機関で見た場合の割合は、全国平均とほとんど同じであることから、本県の公的医療機関のかなりの部分を県立病院が占めていることになります。
このような県立病院の割合の高さは、沖縄復帰時の医療事情が起因しています。
復帰当時、沖縄県では、県立病院以外の公的医療機関が少なく、また、民間医療機関も整っていませんでした。
一般病床数は全国平均の32%、同じく医師数は46%など、全国に比べかなり立ち後れた状況において、人口増等により急増する医療需要に対処すべく、急速に県立病院の整備を進めてきました。
このような状況により、沖縄県では県立病院主導の医療提供体制が形成されてきたのです。
県立病院の課題
近年では、県立病院の整備に加え、民間医療機関等の整備も進んできたことから、医療事情は全体として全国平均に近づきつつあります。
しかし、新たな問題として、民間医療機関が都市地域に偏在し、病床数が過剰となる地域が生じる一方で、北部地区、宮古地区、八重山地区などでは医師不足の傾向が続くなど、地域間の医療格差が課題となっています。
また、県立病院は、公的医療機関として救急医療や高度・特殊医療を担わなければならない一方で、慢性的な赤字が続く厳しい経営状況にありました。そのため、「県立病院再建計画」、「県立病院経営安定化計画」を策定し、安定的な経営基盤の構築に取り組んだところ、平成21年度から平成26年度まで経常利益を計上してきました。しかしながら、平成27年度においては再び経常損失を計上するなど厳しい経営状況となっていることから、引き続き持続的な経営の健全化に向けて取り組んでいるところです。
沖縄県病院事業は、医師の確保や継続的な経営の健全化など、今後も様々な取り組みを行うことで、地域の医療ニーズに応えることができる県立病院を目指していきます。